登山道の優先とゆずり方、ゆずられ方

tozandou 1 登山道では登りと下り、どっちが優先?

混雑の登山道では多くの方がすれ違うことも多いですが、この登山道でのすれ違いには基本的なルールとしてどちらが優先されるのか一応の決まりがあります。

登山道での優先順位

道幅が狭い登山道では、人が二人横に並んですれ違うことが出来ない場所も多々あります。そういうときにどちらが先に通るか迷うこともあるかも知れません。

基本的に登り優先です。

この「登り」というのは、山頂へ向かっている、下山をしているということとは別のことと考えてください。

登下山道が一緒になっている山では、あくまでも登る側が優先です。これは山頂に向かっているかどうかではなく、あくまでも基本は「斜面が登りか下りか」で判断するものだと思ってください。

 

ゆずる時の基本

 

ゆずる時の基本は山側に出来るだけ身を寄せること。 谷側で待つと通り過ぎる相手が万が一躓きぶつかった拍子に谷側へ落ちる危険があります。
 
相手が安全に通れるように出来るだけ道を広く開けてあげる。
 
パーティなど多人数の場合では後ろから早いペースの登山者が来た時は最後尾の人が山側へ安全に避けるように大きく声をかけましょう。

登り優先の理由に、登りよりも下りの方が転倒しやすく、落石を起こす危険が大きいこと。
もしも、落石、転倒になった場合に上に居る側が下に居る人に向かって何かを落とし、被害を及ぼしてしまう可能性が高まるからです。
そして、下りの人のほうが相手に気づきやすく、すれ違う場所も探しやすいためと考えられます。
しかし、このルールに捉われ過ぎるのも良くありません。登山道の状況に合わせて臨機応変に対応しましょう。

 

登山道では臨機応変ゆずりあいと思いやり

こんな時はどうしたらいいの?

●登山道の登りが苦手で道をゆずりたい、登りで疲れ果てた時は安全にすれ違える場所で待つ

●自分は登りだが道をゆずりたい時は退避した後に「どうぞ」とゆずる意志を伝えよう 安全に行き違える場所に近い方が融通を聞かせて退避して待つ

●登りの人数があまりに連続したら、下りの人はなかなか前へ進めない。 そんなときは互いに声かけし、ゆずり合うことが大切。 無言で押しのけて通ろうとするのはトラブルの元。ハイカーとして恥ずかしい行為です。

●追い抜くときは「お先にいいですか?」「通ります」「こんにちは」など、きちんと声をかけよう。

●疲れてきってしまっていると、対向者が間近に来るまで気づかない人もいます。声掛けがお知らせにもなります。

●団体のグループは、より少ない人数のグループを先に通す。 グループの引率者は、対向者、後方者の接近に気を払いましょう。

●登山道以外やガイドロープを超えての追い抜きはダメです。落石を誘発したり、植生や土壌を荒らすことになります。

 

道をゆずられても困るときがある

道をゆずられて困る、逆に相手を危険にする可能性があるのは
ゆずる側が安全でない場所で道をゆずろうとしてしまう時です。

これは、初心者の人がしてしまいがち。
初心者の方は登山時にまだ、足元ばかりに視線がいってしまいがちで、他者へ配慮できる余裕がないことが多く、慌てて退避した場所がとても狭かったり、人がすれ違えないスペースだったり、滑りやすい箇所だと、すれ違う方を危険にする可能性があります。
道を譲る時は、譲る場所にも気持ちにもゆとりを持ちましょう。
逆に、もしも、自分が道をゆずられた場所がとても危険な場合、相手が山に慣れていない可能性があります。「そこはジャマ!」「通れないだろ!」等の文句言葉や強い口調では相手を慌て転倒させてしまうかもしれないので「慌てなくていいので、お先にどうぞ」と、相手をゆっくり安全にすれ違うことが出来る所へ誘導する言葉をかけてあげましょう。
山のベテランさんであればこれくらいの心の余裕があるのがいいですね。

 

ゆっくり山マイマイはお先にどうぞ、ゆっくり歩いていますのしるし

 

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山道で「ゆっくり山マイマイ」を見かけたらその人はゆっくり歩いているしるしです。
道をゆずられてください。
後方から追い越す場合は、相手があわてずに安全なスペースへ待避できるように、「通ります」「お先にいいですか」等の声をかけてあげてください。
 

山のベテランには心の余裕がある

山では、人への配慮や思いやりも基本ルールのひとつ。
山で人に指図、強要、押し付けるようなこと、色々な文句を言ったり、傲慢な態度をとるのは、山のベテランとは言えないでしょう。
もしも、人にそのような態度をとる、他人へ気遣いや思いやりもないのに山へ登るのであれば、全く人がいない山へ行くことが良いでしょう。
混雑が嫌いだ、静かでない山は嫌いだと言いながら、高尾山や富士山、人気の百名山へ行くのは本末転倒。
どんなに傲慢な態度をとっても、山がその人ひとりのものになることはありません。
ましてや、その人の言葉や行動で周囲が嫌な気分になってしまいます。
特に、初心者の人や体のトラブルを抱えた人は、周囲の人の気配に気づくのが遅れがち。
声もかけずに猛スピードで追い越したりすると、相手を慌てさせたり、転倒、滑落などのトラブルにもなりかねません。
だから、少し手前から、すごく丁寧な挨拶でなくてもいいんです「チワー」「どもー」「通ります」等でも、何か声を発してあげると、「あ、後ろに人がいたのね」と安心してスムーズに道を譲ってくれるはずです。

山のように大きなハートで思いやりのある人こそ、山のベテランと言えるでしょう。